Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

東郷雄二『ニューエクスプレスプラス フランス語』白水社

大学時代にお世話になった東郷先生が書かれている。「お世話になった」といっても,先生が担当されていた初級のフランス語の授業をとったというだけで,先生はこちらのことなどまったく知らない。暑い京都だというのにジャケットとネクタイとを欠かさない――そしてクリームイエローの麻のジャケットが特に記憶に残っている――ダンディーなお姿が印象的だった。

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こちらのプロフィールを拝見したら,京都大学は2017年3月に定年退職され,現在は関西学院大学で非常勤講師を務められているという。そしてこちらのサイトでは,「かつて桑原武夫がその存在を否定した純粋読者として、短歌・俳句などの短詩型文学をこよなく愛好し、批評を書いてい」らっしゃる。桑原武夫は,東郷先生の師匠の師匠にあたるという。「「第二芸術論」で俳句や短歌の世界に多大なご迷惑をかけた師のそのまた師の罪滅ぼしという意味もあるかもしれない」とのことだ。

先生のお姿はこちらのサイトでは拝見できないが,こちらの端正な文章拝読するだけで,かつての先生の姿が思い出される。僕は決して真面目な学生ではなかったけれど,フランス語の授業は好きだった――多賀茂先生の授業もとっていたと記憶している。そのおかげで,フランス語の綴りと発音との関係はいまでも覚えている。本書の内容も,最初の9章ぐらいは覚えている。フランス語の勉強はやっぱり楽しい。

授業の中で東郷先生が言われたことで今でも覚え,そして実践しているのが,「r」の書き方。「r」と書くと「v」と間違われる恐れがあるので「R」を小さくしたようなかたちで書く方がいいと,東郷先生は言われていた。

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ニューエクスプレス+フランス語 (白水社): 2018|書誌詳細|国立国会図書館サーチ