『ファンタジーランド』の流れで読んでみたけど,これはこれで濃密な本だった.
本当はもっと軽い感じの(テレビがトランプ大統領を生んだとか,右メディアと左メディアとの対立とか)を想像してたんだけど,なんていうか,本当に物事を知っている人によるメディア論/ニュース論/ジャーナリズム論だった.「本書はアメリカのメディアとりわけテレビの事情に焦点を絞る」とはいってるけど,含蓄深すぎ.
アメリカのテレビ番組にしろそこに出てくる人にしろ,知らない固有名詞が山のように出てくる(知ってるのはラリー・キングとSNLとサウスパークぐらいか)んだけど,それもそのはず,この著者,アメリカで下院議員の下でメディア対策の仕事をしてて,そのあとオバマの大統領選挙キャンペーンにもかかわり,それから日本でテレ東のWBSの制作にも携わるという,本物中の本物なんだ.
全体的に記述が散乱している感じがしなくもなんだけど,書きたいことと書きたい思いを「新書」という枠に収めるにあたって,こうしなきゃいけなかったんだ,という気がしなくもない.
興味深い記述がいろいろと出てくる中で,一番印象的だったのはやっぱりウィリアム・バックリーJrですかね*1.保守派の雑誌『ナショナル・レビュー』の創刊者にして,真のディベートテレビショー『ファイアリング・ライン』のホスト.こういう人,日本に欲しいわ,っていうのは高望みなんだろうけど....
070.253