- そもそも「第五共和政」すら何を指すか分からなかった僕に対しては,とてもいいイントロだった。
- 文章が簡素にして洗練。翻訳が,そしてきっと原文も。
- 「後年になって衝撃を与えたのは,未来の社会主義者の大統領が若い頃に右寄りだったという事実ではまったくなく,彼が入念に足跡を消そうとしたことだった。かつての政治活動の隠蔽工作は,左派の活動家に向けて,彼らの期待に見合う過去を作り上げる必要があるとの理屈に答えるものだったが,後に彼自身,それをいくらか信じるようになったのである。」p.36
- 捕虜生活の中でさまざまな人間(とくに下層からの)に振れ,それが社会主義に目覚めるきっかけになったというストーリーは,分かりやすいものだ。
- 「いつものことだが,彼にとっては理論的な信念よりも,政治的現実主義がより重要だった。」p.195
- エピローグまでの410ページのうち,250ページが終わってもまだミッテランは大統領になっていない!(大統領選当選の記述は283ページに)
- 「フランソワ・ミッテランは,遅くに社会主義者になった――レジス・ドブレは,『一時的な社会主義者』と書いた――が,それがたとえレオン・ブルムによって修正されたものだとしても,マルクス主義理論への転向というよりは,第一級の戦略家としての選択だった。」p.319