Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

竹内義和『大映テレビの研究』澪標

本を読みながらこんなに笑ったのも久しぶり。そして学びが多かった。

「大映テレビ」っていうと自分の中では『スチュワーデス物語』――リアルタイムでは観ていないけれど――であり『アリエスの乙女たち』であり『プロゴルファー祈子』だったけど,特に最後のふたつは大映テレビ末期の作品で,その源流は『海底人8823』という名前すら聞いたことのない作品にあり,そして宇津井健が大映テレビ的な幹――本書内では「ウツイズム」と称されている――を作ったと著者はいう。山口百恵とか小泉今日子も大映テレビに出てたって知らなかった。

いやほんと,この著者の記憶力には舌を巻く,愛しているようでさめている文章もいい。

「乳姉妹」(ちちしまいではなく,ちきょうだいと読む)に出演後,しばらく名前を聞かないなと思ったら,つのだひろか,猪木の延髄切りを5連発くらって,KOされたアノアロ・アティサノエみたいにフニャケた奴とハワイで同棲していた渡辺桂子とか,「遊びじゃないのよ,この恋は」で,まっすぐ進めといわれたら,目の前に障害物があろうが頭を血だらけにしてでもまっすぐに進んで行く一本気な主人公を演じている元気ッ子不気味ッ子井森美幸とかといった,良い意味ににつけ,悪い意味につけ,”大映テレビ”の呪縛につきまとわれている幾多のアイドルとは違い,KYON2だけは,「少女に何が起こったか」の放送終了後,ものの1週間もしないうちに自分自身が”大映テレビ”に出演していた事実さえ,忘れ去ってしまうのではないだろうか。

699.67

大映テレビの研究 (澪標): 2005|書誌詳細|国立国会図書館サーチ