Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

エリオット・ソーバー『オッカムのかみそり:最節約性と統計学の哲学』勁草書房

「オッカムの剃刀」を軸に展開する「統計学の哲学」みたいなもので,ある人にとってはとても興味深い本なのだろうけど,残念ながら自分はその「ある人」ではなかった.

訳者あとがきによれば,

  • 第1章では,古代から20世紀まで,アリストテレスに始まり,オッカム,...,モーガンまでのオッカムのかみそりの正当化が歴史的な順番で検討される.
  • 第2章では,20世紀以降の飛躍的に展開した統計学の知見を土台としたオッカムのかみそりの正当化が取り上げられ,これが本書の中核を担う.
  • 第3章では,進化生物学における系統学的推論の問題にかみそりを当てる.
  • 第4章では,心理学における最節約性が議論される.
  • 第5章は哲学の伝統的な議論に20世紀以降のかみそりを使うという斬新な試みである.第5章は哲学において新たな試みが展開されている.とりわけ,伝統的な哲学の議論にAICの観点を導入する発想は斬新である.この試みが成功しているかどうかの判断は読者に委ねたい.

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