Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

鷲田清一『モードの迷宮』筑摩書房(ちくま学芸文庫)

『東京80年代から考えるサブカル』に出てきていたので読んでみた。昔読んだことがあるかもしれないな……と思いつつ。

〈モード〉をめぐる抽象的でペダンティックな思考を書き連ねたもので,なんというかとても〈ポストモダン〉的。こういうと仲正昌樹に「ポストモダンという言葉を適当に使うな」と言われそうだけど。でも,「序 ディスプロポーション」の書き出しがこうなんですよ:

歓びというものは,いつも,より多く求められるものでありながら,ある臨界点を超えると,とたんに煩わしいものに転化する。快楽が少なすぎれば不満が昂じるのに,いったん飽和状態に達すると,快楽そのものが苦痛に変わってしまう。歓喜に酔いしれたあとに訪れる白んだ気分を,悲嘆に暮れたはてに陥る麻痺状態から区別するのは,案外むずかしい。

ってね。そりゃあ読んだかもしれないけど覚えていないわけだわ。

これ,ヤスケンが編集をやっていたころの『マリ・クレール』に連載されいた文章のようで,なんというか〈時代〉だなぁ……。

593.3

モードの迷宮 (筑摩書房): 1996|書誌詳細|国立国会図書館サーチ