『社会はどう進化するのか』*1の訳者あとがきで訳者がこの本を紹介していた。「棚から牡丹餅」な良書だった。
本書は「イギリスで徐々に立憲君主制が形作られていく過程」の描写に多くのページが割かれている。確かに「イギリス史に馴染みのない読者には,やや迂遠な話に感じられる」が,「立憲君主制という制度がどのような経緯を経て練り上げられていったものかを理解していおくことは,現代の日本の天皇制を考えていくうえでも多くの示唆を与えてくれる」。それと同時に,日本の裕仁および昭仁天皇が,イギリスのジョージ5世から受けた影響も,本書でよく分かった。
日本の皇室に関して著者は,情報公開がまだまだ少ないと主張しているし,皇室に対する国民の理解,特に皇室の公務の激務に対する理解を深めることが,女性・女系天皇の議論においても鍵になるであろうことを主張している。
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