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ランダムな読書歴と音楽にまつわる備忘録

菅野誠二『外資系コンサルのプレゼンテーション術:課題解決のための考え方&伝え方』東洋経済新報社

序章 Set up プレゼンテーションの種類から「やること」「優先順位」を決める

プレゼンテーションの目的を横軸にしてみると、単なる報告から、議論、決裁まで、双方向性の高低という区別を設けることができます。双方向性が高ければ高いほど考慮すべき要件が複雑になります。そして縦軸に「形式性」つまり「一定の形式が必要かどうか?」という区分の設定ができます。 クライアント企業の会議運営に対する形式的な好みや社風が反映されます。形式性が高くなるとプレゼンテーションに必要な参加者、使用会場、レイアウト、資料、スタイルなどがフォーマルなものになり、それぞれ対応すべき要点が増加するので準備に手間と時間がかかります。

第1章 Why? プレゼンテーションのゴールを確認する

組織が大きい企業での決裁では、承認者、決定者、影響力者などが複雑に影響を及ぼしあって意思決定がなされます。経営コンサルタントがプレゼンテーションをする際に、その提案に承認をいただくには、図表1-1のような DMUの人間関係、力関係を把握して、そのパワーバランスに対応する必要があるのです。実態の把握が重要なのであって、組織の肩書を妄信しないことがポイントです。

クライアントの皆さんのお話を伺うと、これらの世界観は、部長から役員へ、または役員がその企業の代表になった途端に、求められる全事業に対する視座・視点・視野の広がりや高さは以前とは比べものにならないと、口を揃えて仰います。提案に対する期待値はこの世界観の変化に応じて高くなります。

社長の視座、視野の先は「株主」であり、利益の源であるその先の「市場の顧客」である場合が多いでしょう。規制業種であれば当局の実力者、利害関係者などかもしれません。主な視点は短期の利益ではなく、長期ヴィジョンの達成かもしれません。

読者の皆さんが外部のコンサルタントとしてプレゼンテーションをするのではなく、社内でプレゼンテーションをするのであれば、自分の立場の2つ上の世界観を想定してみましょう。たとえば課長である自分が部長にプレゼンテーションするならば、視座を本部長の視点で設定して、「本部長であれば、ここまで大局的な見地からの解決案が欲しいはず」と考えるのです。それが説得対象である部長の関心先だからです。

経営コンサルタントのプレゼンテージョンの目標は、クライアントが抱える課題に対して解決を提示することですが、注意が必要なのは住々にして「問題=課題」ではない点です。問題と課題という言葉は人によって定義が異なる場合があるので、これから以下の定義で使用します。

「問題」とは、あるテーマの現状と目標(ありたい姿)の差(ギャップ)があるという、好ましくない現象です。現状と目標や理想との差が大きいほど大問題になります。

「課題」とは、その組織の目的を達成するための核心的な手点で、重要性や緊急性の観点から解決すべき問題と設定された、組織内で未だ明産な答えがでていない「問い」です。問題を発生させている根本原因を検討し、「これが解決できれば良いので、根治すべき」と自らに課した事柄と言うこ

第2章 What? コミュニケーション戦略のストーリーを考える

ピラミッド構成の「結論を先に述べる」という特性は、メリットである反面、実はピラミッド構成の数少ないデメリットにもなります。きちんと考えて使わないと、ストーリー展開上、新しいアイディアの登場感を久いてしまうなど、プレゼンテーションの面白みを殺ぐ可能性もあります。

ピラミッド構成を作成する上で、2つの基本的な思考法が必要になります。ファクトベース思考と、「空・雨・傘」です。この2つは、コンサルティング会社に入社した新人が最初に鍛錬させられる思考法でもあります。

そして、確かなファクトをスタートラインにして、「So-What(だから何が言えるのか?)」と何度も自問して「空・雨・傘」つまり、「事実・解釈・結論」の流れをつないでいく。これがピラミッドを構成する基本的な手法(ボトムアップアプローチ)です。

プレゼンテーションのストーリーライン、つまりピラミッドの論理・構成としては、「空→雨→傘」ではなく、その課程を逆になぞり「傘→雨→空」と組み直します。たとえば、課題に対する聞き手へ「結論:傘はおいていくべき」をまず提案し、その上でWhy-So (なぜならば)と、それを複数のサブ・メッセージである「雨」「空」で支える形に構成するのです

第3章 How? - 1 プレゼン資料作成の基本

第4章 How? - 2 プレゼンの実演の準備のコツ

外資系コンサルのプレゼンテーション術 : 課題解決のための考え方&伝え方 | NDLサーチ | 国立国会図書館

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