Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

小澤匡行『東京スニーカー史』リットーミュージック

「なぜ〈エアマックス95〉に多くの日本人が熱狂したのか」については,誰も言及していない。この一抹の不思議に端を発し,それがこの本の取材の原動力になっている。

Air Max 95 は本書のクライマックスだけど,「すべてのムーブメントは,一本のストーリーで繋がっている。」という冒頭のフレーズがいうように,本書はそのクライマックスの前後をストーリーをして描いている。

最初のメーカーの黎明期の記述は他で見たことのある内容(の大まかなサマリー)なので目新しいものはないが,その後はぐいぐい面白くなってくる。「本書は地の文と証言,過去の雑誌や書籍からの引用文で構成されている」という,その構成手法は洗練されているとは思えないが,でもこうせざるをえなかったというのはよく伝わってきた――「証言を多用したのは,自分の表現に変化された瞬間に,取材対象者の実感を伴ったエピソードに含まれた思いが捨象されたくなかったからだ」*1

最後にある「名作スニーカー図鑑」。これはスニーカー初学者にはありがたい。

それにしても,藤原ヒロシの影響力,すげーな。

589.25

東京スニーカー史 = Tokyo Sneaker History (立東舎): 2016|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

*1:まぁこの一文をとってみても「洗練」とはほど遠い――それっぽいものを書こうとしているのは分かるけど――のが分かるけれど。