Dribs and Drabs

ランダムな読書歴に成り果てた

2021-01-01から1年間の記事一覧

鎌田浩毅『理科系の読書術:インプットからアウトプットまでの28のヒント』中央公論新社(中公新書)

理科系の読書術 - インプットからアウトプットまでの28のヒント (中公新書)作者:鎌田 浩毅中央公論新社Amazon 『正しい本の読み方』に比べれば丁寧に書かれているけれど,『本を読む本』に比べれば内容が薄い,というか,対象としている人のレベルが低い。い…

M.J.アドラー, C.V.ドーレン『本を読む本』講談社(講談社学術文庫)

本を読む本 (講談社学術文庫)作者:J・モーティマー・アドラー,V・チャールズ・ドーレン講談社Amazon 橋爪大三郎はこの本の存在を知っていただろうに,よくあんな薄っぺらい本が出せたものだ…。 この本の構成は直線的かつ積み上げ式で,つまり本を読む段階を4…

橋爪大三郎『正しい本の読み方』講談社(講談社現代新書)

正しい本の読み方 (講談社現代新書)作者:橋爪大三郎講談社Amazon まず出だしがうざい。 この本を手に取ったのは,現代のビジネスパーソンでしょうか。退職世代の皆さんでしょうか。それとも,学生さんかな? 『正しい本の読み方』という書名を見て手を伸ばし…

フリードリッヒ・ニーチェ『善悪の彼岸;道徳の系譜』筑摩書房(ちくま学芸文庫, ニーチェ全集, 11)

ニーチェ全集〈11〉善悪の彼岸 道徳の系譜 (ちくま学芸文庫)作者:フリードリッヒ ニーチェ筑摩書房Amazon ということで満を持して読んでみた*1。 まず「体系性からいってもその密度からいっても群を抜いている」らしい『道徳の系譜』なんだけど,どこが体系…

R・L・リプレー『世界奇談集:ウソのような本当の話』河出書房新社(河出文庫)

世界奇談集―ウソのような本当の話 (河出文庫)河出書房新社Amazon もともと『「偶然」の統計学』で知ったんだったかな,この本。 ほんとサブタイトルのとおり「ウソのような本当の話」が満載で,暇つぶしで読むにはもってこいである。 934

読書猿『独学大全:絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』ダイヤモンド社

独学大全――絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法作者:読書猿ダイヤモンド社Amazon 読書猿の本もこれで3冊目だが,あいかわらず「知識のひけらかし」というか「技法の羅列」としか感じられないほど,自分には刺さらない。おまけに今度は…

酒井聡樹『これから論文を書く若者のために』共立出版

これから論文を書く若者のために 究極の大改訂版作者:酒井 聡樹共立出版Amazon 癖が強い本ではある(詳細は後述)が,これほど懇切丁寧に論文の書き方を指導してくれる本もないであろう。自分が「これから論文を書く若者」であったら,この本を手元に置いて…

わたなべちなつ『ふしぎなにじ』福音館書店(かがみのえほん)

ふしぎな にじ (福音館の単行本)作者:わたなべ ちなつ株式会社 福音館書店Amazon 紙面の一部が鏡面になっていて,虹の絵が写し鏡で展開していくという,視覚で楽しむ本。子供が0歳のときに買ったけど早すぎて,4歳をすぎてからようやくこちらの意図通りに読…

ポール・J・シルヴィア『できる研究者の論文生産術:どうすれば「たくさん」書けるのか』講談社

できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか (KS科学一般書)作者:ポール.J・シルヴィア講談社サイエンティフィクAmazon 原題は『How to Write a Lot』とシンプルなのになんでこんな邦題になるのかと思うのだけど,「たくさん」書く方法につ…

ヒサクニヒコ『恐竜研究室 3(恐竜絶滅のなぞ)』あかね書房

恐竜研究室〈3〉恐竜絶滅のなぞにせまるあかね書房Amazon 「恐竜絶滅のなぞ」とは謳っているが,本書の射程はもう少し広くて,「恐竜の羽根について考えてみよう」とか「飛行のはじまりについて考えてみよう」とか「翼竜が森から出た理由を考える」,読んで…

井上雅史, 岸本年郎『小さな生き物たちの世界をルーペで覗いてみたら』マイルスタッフ

小さな生き物たちの世界を ルーペで覗いてみたら (momobook)マイルスタッフ(インプレス)Amazon 小さな生物の世界を拡大写真で紹介しているだけなんだけど,そこにある多様な世界,造形の美に驚愕させられる。大人は思わず「気持ち悪い」って言いそうになる…

内田貴『総則・物権総論』東京大学出版会(民法, 1)

民法I 第4版: 総則・物権総論作者:内田 貴東京大学出版会Amazon いわゆる「内田の民法」の第1巻。 以前読んだ瀧本哲史の本*1で,瀧本が東大で内田のもとで学んでいたというのを知って,ページを開いてみた。 最初の概念的なところは面白く読めたんだけど,そ…

堀内誠一, 谷川俊太郎『音楽の肖像』小学館

音楽の肖像作者:誠一, 堀内,俊太郎, 谷川小学館Amazon 作曲家とその作品とにまつわる,エッセイとイラストと詩。 いやー,こういうのを味わう心の余裕がないわ……。 762.8 音楽の肖像 = LA MUSIQUE EN PORTRAITS (小学館): 2020|書誌詳細|国立国会図書館サ…

左巻健男, 元素学たん『図解 身近にあふれる「元素」が3時間でわかる本:思わずだれかに話したくなる』明日香出版社

図解 身近にあふれる「元素」が3時間でわかる本 (ASUKA BUSINESS)作者:左巻 健男,元素学たん明日香出版社Amazon たしかに面白い切り口で「元素」を紹介していると思うんだけど,もうちょっとうまいこと全体を構成できなかったかしら,とも思う。「第1章 元素…

ジョン・ブランドラー, アレッサンドラ・マッタンザ『BANKSY』新星出版社

BANKSY作者:ジョン・ブランドラー,アレッサンドラ・マッタンザ新星出版社Amazon バンクシーの作品集で,ふたりの著者による分かったような分からないような要るような要らないような解説文がついている。僕自身はバンクシーの作品というか活動にそんなに惹か…

『Gerhard Richter: Drawings 1999-2021』HENI Publishing

Drawings 1999–2021作者:Newman, MichaelHeni PubAmazon ロンドンのSouthbank Centreでゲルハルト・リヒターのドローイング作品だけを集めたエキシビションが開催されているみたいで,そのカタログ。 Gerhard Richter: Drawings, 1999 – 2021 冒頭の解説にあ…

竹田青嗣『ニーチェ入門』筑摩書房(ちくま新書)

ニーチェ入門 (ちくま新書)作者:竹田青嗣筑摩書房Amazon 久しぶりに読んだけど,文章の切れ味がいいんだよね,この本というかこの著者。たとえば『悲劇の誕生』に関して, まずはその実質的なモチーフはつぎのようなことになる。「いまや現代ドイツに真の芸…

木村正俊『スコットランド通史:政治・社会・文化』原書房

スコットランド通史:政治・社会・文化作者:木村 正俊原書房Amazon 日本人が書いたスコットランドの歴史を読む意味があるのかとか,この著者が監訳したというT・Cスマウト『スコットランド国民の歴史』(原書房)なる本がある中でこの本の存在意義はどこにあ…

『ウルトラマン全戦士超ファイル』小学館(てれびくんデラックス愛蔵版)

ウルトラマン全戦士超ファイル 増補3訂版 (てれびくんデラックス 愛蔵版)作者:間宮 尚彦小学館Amazon いつのまにウルトラマンこんなに種類が増えていたんだよって感じなんですけど,これをコンパイルする編集者がすごいですね。 778.8 ウルトラマン全戦士超…

羅芝賢『番号を創る権力:日本における番号制度の成立と展開』東京大学出版会

番号を創る権力: 日本における番号制度の成立と展開作者:羅 芝賢東京大学出版会Amazon 交換留学生として韓国から日本に2005年に初めてやってきたという著者の博士学位取得論文に加筆訂正を行なったものという本書。「あとがき」には,2013年に区役所で転入届…

田中清代『トマトさん』福音館書店

トマトさん (こどものとも絵本)作者:田中 清代株式会社 福音館書店Amazon 上の子が生まれたときに親友がくれた絵本。なんてことのない話だけど,インパクトのあるトマトの顔が子供に受けるのかな。虫とかトカゲとか小さな動物も登場してくるし。 726.6 トマ…

あおむら純『空海:真言宗を開いた弘法大師』小学館(小学館版学習まんが ドラえもん人物日本の歴史, 第3巻)

ドラえもん人物日本の歴史3・空海 (3) (小学館版学習まんが―ドラえもん人物日本の歴史)小学館Amazon 高野山に旅行に行った息子が買ってきてたんだけど,空海と最澄はいろいろあって最終的に仲違いしたってところがいちばん印象に残った。 188 空海 : 真言宗…

森川潤『グリーン・ジャイアント:脱炭素ビジネスが世界経済を動かす』文藝春秋(文春新書)

グリーン・ジャイアント 脱炭素ビジネスが世界経済を動かす (文春新書)作者:森川 潤文藝春秋Amazon 洋上風力発電とかESG投資とかテスラとか代用肉とか,「脱炭素」をめぐるいまの状況が,バランスよく記述されている。現状のスナップショットを眺めたい人に…

崔吉城『キリスト教とシャーマニズム:なぜ韓国にはクリスチャンが多いのか』筑摩書房(ちくま新書)

キリスト教とシャーマニズム ――なぜ韓国にはクリスチャンが多いのか (ちくま新書)作者:崔 吉城筑摩書房Amazon 「キリスト教が第一宗教である韓国では,近代以降,伝統的なシャーマニズムが形を変えてキリスト教伸張につながった。また,その独特な布教でも知…

ニコラス・レマン『マイケル・ジェンセンとアメリカ中産階級の解体:エージェンシー理論の光と影』日経BP

マイケル・ジェンセンとアメリカ中産階級の解体――エージェンシー理論の光と影作者:ニコラス・レマン(Nicholas Lemann)日経BPAmazon なんだろう,邦題(の不適切さ)が気になるのと,最終章「利益者集団による多元主義」に大事なことが書かれていそうなのに,…

三浦公亮, 蝶間林利男『テニスの科学:なぜ、あなたはミスショットするか』光文社(カッパ・サイエンス)

テニスの科学―なぜ、あなたはミスショットするか (カッパ・サイエンス)作者:三浦 公亮,蝶間林 利男光文社Amazon 柴さんに教えてもらったのがこの本で,自分のような人間にとっては確かにめっちゃ面白かった。記憶に残っているのは「科学」というか「物理学」…

全米テニス協会『テニス勝利への戦術 シングルス編』大修館書店

テニス勝利への戦術 シングルス編大修館書店Amazon これ本当にいろんな(シングルスの)戦術が載っていて,とてもためになる。まぁ遊びでテニスをしていただけの自分としては,ここに書かれているような戦術をつきつめて練習するようなことはなかったのだけ…

蝶間林利男, 佐藤政廣, 勝田茂『科学の目で見たテニスレッスン』ベースボール・マガジン社

科学の目で見たテニスレッスン作者:利男, 蝶間林,茂, 勝田,政広, 佐藤ベースボールマガジン社Amazon 今はどうか分からないけど,この本を買った2003年当時はこの本がユニークに見えたというか,実践的なドリルにページを割いた本って,なかなかないよう印象…

ロン・チャーナウ『モルガン家:金融帝国の盛衰』日本経済新聞社(日経ビジネス人文庫)

モルガン家(上) 金融帝国の盛衰 (日経ビジネス人文庫)作者:ロン・チャーナウ日本経済新聞出版Amazon モルガン家(下) 金融帝国の盛衰 (日経ビジネス人文庫)作者:ロン・チャーナウ日本経済新聞出版Amazon Amazonの購入履歴によれば,2008年に買って読んでいた…

NHKメルトダウン取材班『福島第一原発事故の「真実」』講談社

福島第一原発事故の「真実」作者:NHKメルトダウン取材班講談社Amazon 『失敗の本質』に通ずるものがあると思うけど,あちらはなんとなく「昔の人がやったこと」と切り離して考えがちで,こちらは記憶に新しい事象だけに,リアリティーをもって読めるんじゃな…