2022-01-01から1年間の記事一覧
【新版】日本語の作文技術 (朝日文庫)作者:本多勝一朝日新聞出版Amazon 先の大栗先生の本*1にも登場していた本書である。 「作文技術」といいつつ,ここで主に指南されるのはミニマムな文の組み立てについて。つまり,文内に複数ある修飾語・句・節をどう配…
探究する精神 職業としての基礎科学 (幻冬舎新書)作者:大栗博司幻冬舎Amazon 明らかにマックス・ヴェーバーを意識しただろう大業なサブタイトルとは裏腹に,本書の大部分は大栗先生の自分語り――子供のころから今に至るまで何を見て何を読んで何を考えてどう…
「公益」資本主義 (文春新書)作者:原 丈人文藝春秋Amazon 岸田首相の「新しい資本主義」のブレーンだといわれる*1原丈人による本書。もっともらしいことを述べておりつつも議論が乱暴――たとえば「経済格差が広がったからテロが増えている」みたいな主張――で…
情報と国家-憲政史上最長の政権を支えたインテリジェンスの原点 (単行本)作者:北村 滋中央公論新社Amazon 「北村滋」といわれてもピンとこないけど,「北村前国家安全保障局長」という字面には多くの人が見覚えがあるはず。「九年半以上もの間,内閣情報官及…
中部銀次郎 ゴルフの極意 心のゲームを制する思考 (日経ビジネス人文庫)作者:杉山 通敬日経BPAmazon アマチュアゴルファーが「もしかしたら自分のゴルフにも活かせるんじゃないか」と期待が持てるような〈名言〉が散りばめられている。 「ゴルフでは起こった…
多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織作者:マシュー・サイドディスカヴァー・トゥエンティワンAmazon 非常に示唆的であった。「なぜ多様性が重要かというと,多様性のあるチームの方がいいチームになりうるから」ということが…
シミュレーショニズム―ハウス・ミュージックと盗用芸術作者:椹木 野衣洋泉社Amazon 文庫化されるにあたって冒頭に「講義篇」を付け加えたのが,この『増補 シミューレーショニズム』だという。その講義篇がいちばん読みやすくかつ面白く,初出時の文章――要す…
哲学の誤読 ―入試現代文で哲学する! (ちくま新書)作者:入不二 基義筑摩書房Amazon 刺激的な本である。ユニークな知的刺激が得られる。これを読み終えたからといって日常生活やら仕事やらに一切のメリットはないはずだけど,でもこういう本を「理解できるよ…
大映テレビの研究作者:竹内義和澪標Amazon 本を読みながらこんなに笑ったのも久しぶり。そして学びが多かった。 「大映テレビ」っていうと自分の中では『スチュワーデス物語』――リアルタイムでは観ていないけれど――であり『アリエスの乙女たち』であり『プロ…
段落論 日本語の「わかりやすさ」の決め手 (光文社新書)作者:石黒 圭光文社Amazon 「段落論」ときくと「トピック・センテンス」*1のようなものを容易に想像する。実際に本書はトピック・センテンス――あるいはそれに象徴される欧米風のコンポジション(作文技…
プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 (日経BPクラシックス)作者:マックス・ウェーバー日経BPAmazon 他の古典――たとえば『種の起源』とか――に比べれば遥かに「読める」。のだけれど,ウェーバーの記述は冗長であり洗練されているとはいいがたく,全体…
人を動かす 文庫版作者:D・カーネギー創元社Amazon とにかく読み物として面白い。エピソードが満載なのだが,それもそのはず,「彼は,新聞,雑誌,裁判記録をはじめ,心理学書,哲学書,その他,人間関係の問題に関連のある書物を片っ端から調べ上げ,助手…
アメリカにおけるデモクラシーについて (中公クラシックス)作者:トクヴィル中央公論新社Amazon 本書を開いて初めて分かったけれど,これはトクヴィルの原書の一部――「序」および第二部の第六章から第九章まで――を訳したにすぎないんだな。全訳は岩波文庫から…
中部銀次郎 ゴルフの要諦 伝説のゴルファーに学ぶゴルフの大原則 (日経ビジネス人文庫)作者:本條 強日本経済新聞出版社Amazon 確かに中部銀次郎の幼少期とか,「2回戦ボーイ」だった中部がいかにしてマッチプレーに強くなるかといったプロセスは面白いものは…
プロテスタンティズム - 宗教改革から現代政治まで (中公新書)作者:深井 智朗中央公論新社Amazon 本書を読むのは2回目だ。再び読もうと思ったのは,カート・アンダーセン『ファンタジーランド』*1の影響だと思う――そこではアメリカを創ったプロテスタントが…
種の起原 (原書第6版)作者:チャールズ・ダーウィン朝倉書店Amazon いつかは原典にあたりたいと思って読んでみたけど,すいません,気持ちが続きませんでした。2段組で500ページ近い濃密な紙面。それでいて図がひとつしか登場しないというのが,時代の違い…
話が長い。教条的。リベラル臭。 726.6 だれがいちばんえらいの? (ワールドライブラリー): 2016|書誌詳細|国立国会図書館サーチ
物語論 基礎と応用 (講談社選書メチエ)作者:橋本陽介講談社Amazon これまでに読んだこの手の本の中では,いちばん良かった。前半は理論編で,フランス構造主義時代の物語論を紹介。後半は分析編で,具体的な小説や漫画や映画の「おもしろさ」のポイントを分…
コンピュータが仕事を奪う作者:新井 紀子日本経済新聞出版Amazon 扇動的なタイトルなのに中身は抽象的な議論が続いて,肩透かしを受けた人も多かっただろうなと思う。 コンピュータとは何かという話,コンピュータで出来ることと出来ないことは何かという話…
ゴルフ時空間ツアー (Choice選書)作者:大塚 和徳ゴルフダイジェスト社Amazon 「時空間ツアー」ってなんのこっちゃと思ったら,要するに「昔話」。もともと『Choice』誌に連載されていた「痛快!ゴルフ史」を再編集して書籍化したようだが,だったらタイトル…
立憲君主制の現在: 日本人は「象徴天皇」を維持できるか (新潮選書)作者:君塚 直隆新潮社Amazon 『社会はどう進化するのか』*1の訳者あとがきで訳者がこの本を紹介していた。「棚から牡丹餅」な良書だった。 本書は「イギリスで徐々に立憲君主制が形作られて…
人材を活かす企業 (Harvard Business School Press)作者:ジェフリー・フェファー翔泳社Amazon 「従業員を大事にする企業は成長する」ということを,さまざまなデータやケースを用いて示していく。真面目な学術書であり,遊びの要素はない。 具体的な話として…
いちばんやさしいExcelピボットテーブルの教本 人気講師が教えるデータ集計 が一瞬で終わる方法 (「いちばんやさしい教本」シリーズ)作者:羽毛田睦土インプレスAmazon Excelのピボットテーブルなんてなんとなく使っていたけど,こうやって基本的な使い方を改…
Amazonにデータがないんだけど…『The Anatomy of a Golf Course』が翻訳されていたの,知らなかった。 翻訳について 「ゴルフに関して全く門外漢である」という訳者(籏野充子)による訳は,全体的に頑張っているけれど,ところどころで間違いがある。「無類…
デイビス・クレブス・ウェスト 行動生態学 原著第4版作者:N.B.Davies,J.R.Krebs,S.A.West共立出版Amazon たしかにこれはすごい本だ。このテーマに関することならなんでもこの本に書かれているだろうと思わせる,包括的で決定的な教科書だ。 Tinbergenの4つの…
サピエンス全史(下) 文明の構造と人類の幸福 サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福作者:ユヴァル・ノア・ハラリ河出書房新社Amazon サピエンス全史(上) 試し読み増量版 文明の構造と人類の幸福作者:ユヴァル・ノア・ハラリ河出書房新社Amazon サピエン…
スゴい!ゴルフコース品定め。 (Choice選書)作者:川田太三ゴルフダイジェスト社Amazon 雑誌連載を再編しただけあって,記述が散発的で表層的。似たような内容が複数個所に出てきたりして,盛り下がる。パー3ホールを「ショート(ホール)」と呼んでいるのはど…
ロッキード疑獄 角栄ヲ葬リ巨悪ヲ逃ス (角川書店単行本)作者:春名 幹男KADOKAWAAmazon 力作。長期間に及ぶ丹念な取材・資料の読みこみによって,ロッキード事件の「真相」に近いところをできるだけ解き明かしていく。惜しいのは,改行の多い文章と,たまに挟…
都市建築TOKYO――超高層のあけぼのから都市再生前夜まで作者:都市建築TOKYO編集委員会鹿島出版会Amazon 面白そうだなと思って手にとってみたけれど,なんだかよく分からない。いや,その界隈の人にすれば大層価値のある書物なのかもしれないが,門外漢にとっ…
グーグル化の見えざる代償 ウェブ・書籍・知識・記憶の変容 (インプレス選書)作者:シヴァ・ヴァイディアナサンインプレスAmazon そもそも10年以上前に出された本をいま読む意味はどこにあるのか――ただでさえ進化のスピードの速いテクノロジーの分野に関する…